- かん
- I
かん(副)〔近世は「くわん」とも表記〕(多く「と」を伴って)小さな鐘・鉦(シヨウ)などをたたいた時の澄んだ音を表す語。II
「鐘を~と鳴らす」
かん【上】〔「かみ(上)」の転。 「かむ」とも表記〕「かみ」に同じ。 助詞「の」「つ」の前にあらわれる形。III「~つけ(上野)」「~のくだり(上件)」
かん【冠】※一※ (名)かんむり。※二※ (ト|タル)最も優れているさま。 最高と認められるさま。 多く「冠たる」の形で用いる。IV「世界に~たる日本の技術」
かん【刊】刊行。 出版。V「一九九五年~」
かん【勘】(1)物事を直感的に感じ取る能力。 第六感。「~がいい」「~が狂う」「~に頼る」「~がはたらく」
(2)よく調べて考えること。 罪を調べただすこと。VI「御~なる, 昨日の事なり/御湯殿上(大永八)」
かん【坎】(1)穴。 窪(クボ)み。「~に臨んで盟(チカヒ)を請ふ/三教指帰」
(2)易の八卦の一。 算木で☵の形で示す。 水・月を表し, 北の方角に配する。VIIかん【奸・姦・姧】悪い心をもつこと。 よこしまなこと。 また, その人やさま。VIII「君側の~を除く」「敢て其人を~なりとて咎るに非ず/学問ノススメ(諭吉)」
かん【完】終わり。 完結。 主に, 映画・小説などの最後に記す語。IXかん【官】(1)国家。 政府。「~の手に成りしものなり/文明論之概略(諭吉)」
(2)国家の機関。 役所。 官庁。 また, そこに勤める人。 官吏。「~を辞する」
(3)「太政官(ダイジヨウカン)」の略。「~の司に定考(コウジヨウ)といふことすなる/枕草子 132」
(4)地位。 官位。 くらい。Xかん【寒】冬の時期の名。 立春の前三〇日間。 ﹝季﹞冬。「~の内(ウチ)」
~が明(ア)・ける大寒の季節が過ぎる。 立春の前日から立春へかけていう。→ 寒明け~返・る立春が過ぎて再び寒さがぶり返す。~に入(イ)・る寒の季節になる。 小寒となる。→ 寒の入り~に帷子(カタビラ)土用(ドヨウ)に布子(ヌノコ)(1)季節はずれの無用なもののたとえ。 また, あべこべなことのたとえ。(2)季節に合った服が着られないこと。 きわめて貧しいたとえ。XIかん【寛】他に対して態度がゆるやかである・こと(さま)。XII「心を~にして, 一方に僻すること勿る可し/文明論之概略(諭吉)」
かん【巻】※一※ (名)(1)巻子本(カンスボン)・巻軸などの巻物。(2)書物。 本。※二※ (接尾)助数詞。(1)書籍・巻物を数えるのに用いる。「数十~の経文」
(2)全集やシリーズものなどの本の, 数や順序を数えるのに用いる。「全三~の論集」「文学全集の第一~」
(3)小説などの一区切りを表すのに用いる。 章。 編。(4)(ア)映画フィルムの個数および長さを表すのに用いる。 普通, 上映時間一〇分間程度を一巻とする。 (イ)磁気テープ・カセット-テープなどを数えるのに用いる。~を追・う書物を読み進んでゆく。「物語は~・うに従って佳境に入った」
~を措(オ)く能(アタ)わずその書物に強くひきつけられて, 一気に終わりまで読まずにいられない。XIIIかん【干】(1)干支(エト)に用いる語。→ 十干(2)横笛の穴の一。 指で押さえる穴が六つある笛の一番下の穴。「~の穴は平調(ヒヨウジヨウ)/徒然219」
(3)古代朝鮮や中国で八佾(ハチイツ)の舞を舞う際に用いる装飾ある盾。XIVかん【患】憂え。 わずらい。XV「後日の~となろう」
かん【感】(1)物事を見たり聞いたりして起こる心の動き。「隔世の~」「時期尚早の~がある」
(2)心が強く動かされること。 感慨。(3)接尾語的に用いて, …の感じの意を表す。「解放~」「幸福~」
~極(キワ)ま・る非常に感動する。「~・って泣き出した」
~に堪(タ)えない非常に深く感動して, おもてに表さないではいられない。~に堪(タ)・える〔「感に堪えない」から転じて打ち消しの語を伴わずに用いた言葉〕「感に堪えない」に同じ。XVI「味噌汁(オツケ)を装ふ白々とした手を, ~・へて見て居たが/婦系図(鏡花)」
かん【棺】死体を入れる箱やおけ。 ひつぎ。~を蓋(オオ)いて事(コト)定(サダ)まる〔晋書(劉毅伝)「丈夫蓋棺事方定」から〕死後, 初めてその人の真価が決定する。~を覆(オオ)・うひつぎの蓋(フタ)をする。 人が死ぬ。XVIIかん【欠】〔「欠」の字音「けん」の転〕目方・分量などが減っていること。 めべり。 [日葡]~が立・つ数量または目方が減る。XVIII「だんだん懐の内に~・つには困りはてる/滑稽本・続膝栗毛」
かん【款・欵】(1)親しみ。 よしみ。(2)法律文などの箇条書き。 条項。 ひとつがき。(3)予算書・決算書などで用いる語。「部」の下, 「項」の上のまとめの単位。 「~項目」
~を通(ツウ)・ず〔北史(盧柔伝)〕(1)仲良くする。 よしみを結ぶ。(2)敵に内通する。XIXかん【歓】よろこび。 楽しみ。~を尽く・す〔礼記(曲礼上)〕十分に楽しむ。XXかん【汗】〔khan〕⇒ ハンXXIかん【漢】※一※(1)中国の古代王朝の名から, 中国本土をさす語。(2)中国の王朝名。 一般に, 統一王朝であった前漢(西漢。 (前202-後8))・後漢(コウカン)(東漢。 25-220)をさすことが多い。 他に国号を漢と称した王朝には, 三国時代の蜀漢(221-263), 五胡十六国時代の漢(前趙(チヨウ)の前身。 (304-329))・成漢(後蜀(シヨク)。 (304-347)), 五代十国時代の南漢(917-971)・後漢(947-950)・北漢(951-979)がある。(3)中国の民族の一。 漢中(カンチユウ)を中心に住む種族。(4)あまのがわ。(5)「漢中」の略。※二※男の人の意で, 接尾語的に用いる。XXII「熱血~」「硬骨~」
かん【澗】数の単位。 溝(コウ)の一万倍。 すなわち一〇の三六乗。 [塵劫記]XXIIIかん【燗】酒をとっくりなどに入れて, あたためること。 また, あたためた酒。XXIV「~をつける」「熱(アツ)~」
かん【環】※一※(1)円形の玉。(2)〔数〕 一つの集合において, その元(要素)の間に加法と乗法の二種類の算法が定義され, (1)加法について可換群である, (2)乗法について結合法則が成り立つ, (3)加法・乗法の間に分配法則が成り立つ, という三つの条件が満たされているとき, この集合を環という。※二※…を囲むの意で, 接頭語的に用いる。XXV「~太平洋」
かん【甲】〔「甲」の日本での慣用音〕日本音楽で, 声や楽器の高い音域。 また, ある音に対して一オクターブ高い音。⇔ 乙⇔ 呂XXVIかん【疳】(1)漢方で, 子供に起こる内科の病気の総称。 消化不良がきっかけとなることが多く, 時にはひきつけを起こすこともある。(2)「癇(カン)」に同じ。XXVIIかん【癇】(1)神経が過敏で, 小さなことにもいら立ったり怒ったりすること。 疳(カン)。「~が立つ」「~の強い子」
(2)ひきつけや失神を伴う病気。~にさわ・る神経を刺激していら立たせる。 気にいらない。 癇に触れる。XXVIII「あのものの言い方が~・る」
かん【神】⇒ かむ(神)XXIXかん【稈】竹・稲・麦・黍(キビ)などイネ科植物の茎に見られるような, 節と節の間が中空の茎。XXXかん【竿】助数詞。 さおの数を数えるのに用いる。XXXI「一~を携える」
かん【管】※一※ (名)(1)中空で円柱状の棒。 つつ。 くだ。(2)管楽器。 笛・ラッパなど。※二※ (接尾)助数詞。 笛・筆などくだ状の物を数えるのに用いる。XXXII「笛一~」
かん【簡】(1)中国で, 紙の発明される前に用いられた, 竹の札。 たけふだ。(2)手紙。 書状。(3)簡単なこと。 こみいっていないさま。~にして要(ヨウ)を得(エ)る簡単でしかも要領を得ている。XXXIIIかん【緘】とじ目。 封じ目。 また, 封筒のとじ目に書きつける文字。XXXIVかん【緩】ゆるやかなさま。 のろいさま。XXXV「~にして穏固なる人/西国立志編(正直)」
かん【羹】(1)あつもの。 [節用集(文明本)](2)雑煮。「若水を汲み~をすゆれども/咄本・醒睡笑」
(3)和菓子の類。 [日葡]XXXVIかん【肝】(1)五臓の一。 肝臓。 肝の臓。(2)〔古く, 魂のあるところと考えられたことから〕こころ。XXXVII「~ヲクダク/日葡」
かん【艦】戦争用の船。 軍艦。XXXVIII「~が傾く」
かん【観】(1)目に映った印象。 物事の様子・状態。「別人の~がある」「侵すべからざる如き~ある処の外科室/外科室(鏡花)」
(2)〔仏〕 特定の想念や心の本性などを心の中で観察し, 仏教の真理に達する方法。→ 止観(3)接尾語的に用いて, …に対する考え方・見方などの意を表す。XXXIX「人生~」「歴史~」
かん【諫】いさめ。 臣下から君王, 子から親などへの忠告の言葉。XL「一死をもって~を奏する」「よく左右の~を入れる」
かん【貫】(1)尺貫法における目方の単位。 時代によって相違があるが, メートル条約加入後, 1891年(明治24)に15キログラムを四貫(一貫=3.75キログラム)と定め, 尺貫法の基本単位の一つとした。 一〇〇〇匁(モンメ)。 貫目。(2)銭(ゼニ)を数える単位。 一〇〇〇文(モン)を一貫とする。 ただし, 江戸時代には実際は九六〇文を, 明治時代には一〇銭のことをいった。 貫文。(3)中世以後, 田地に用いた単位。 田地の収穫高を銭に換算して表したもので面積は一定でない。 武家の知行高は, これを用いて示した。XLIかん【鐶・釻】(1)金属製の輪。 (ア)箪笥(タンス)などの引き手。 (イ)蚊帳(カヤ)の天井の四隅に付ける輪。 部屋の四隅の釣り手に通して蚊帳を釣り下げる。 (ウ)茶釜の上げ下ろしに用いる金具。 一端の切れた輪で, 釜の鐶付(カンツキ)の穴に通して用いる。 (エ)カーテン・袈裟(ケサ)・羽織の紐(ヒモ)などで, つないだり釣り上げたりする役目のもの。 (オ)軸の掛緒を付ける金具。(2)家紋の一。 {(1)(ア)}を数個組み合わせたもの。 木瓜(モツコウ)紋の外側を再構成したものという。XLIIかん【長官】「かみ(長官)」の転。XLIII「~の君(キミ)」「~の殿(トノ)」
かん【閑】ひま。 ひまな時間。 また, ゆったりと落ち着いてしずかなさま。XLIV「忙中に~を得る」「鳥声~なる郊外/世路日記(香水)」
かん【間】※一※ (名)(1)あいだ。 物事や場所, また時間などについていう。「生死の~をさまよう」「その~, 沈黙が続いた」「指呼の~」
(2)好機。「~に乗ずる」
(3)気持ちのへだたり。 仲たがい。※二※ (接尾)名詞に付いて, 「(…と…との)あいだ」の意を表す。 物事・時間・空間・人と人との関係などについていう。「三日~」「東京・大阪~」「業者~の取引」
~髪(ハツ)を容(イ)れず〔枚乗「諫呉王書」, 「説苑(正諫)」などより。 一筋の毛髪をいれるすき間さえないの意から〕間をおくことなく直ちに。 ほとんど同時に。~を生(シヨウ)・ずる仲たがいする。 人間関係にひびが入る。XLVかん【関】関所。 門。 せき。XLVIかん【韓】(1)大韓民国。 韓国。「日~会談」
(2)中国の戦国時代の七雄の一((前403-前230))。 韓氏は晋(シン)の有力世族であったが, 魏(ギ)氏・趙(チヨウ)氏とともに晋を滅ぼしその領土を三分, 山西省南東部から河南省中部を領有。 紀元前230年秦(シン)の始皇帝に滅ぼされた。(3)三韓(サンカン)。(4)李氏朝鮮が, 1897年から1910年まで用いた国号。 大韓。XLVIIかん【館】大きな建物。 やかた。 邸宅。~を捐(ス)・つ〔史記(范雎伝)〕貴人が死去する。 館舎を捐つ。XLVIIIかん【骭】すね。 はぎ。「衣(コロモ)は~に至る」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.